基本的な構造、寸法を守り製作することになりましたが、デザインはお任せとのことで、何をイメージしてデザインするかを考えました。最初聴かせていただいた曲が「浜辺の歌」でしたので、浜辺に天女が舞い降りる姿を思い浮かべてデザインし、それをもとに図面を作成。図面ができた時点で一度見てもらい、OKとのことでしたので、それをもとに製作することになりました。
次に必要と思われる治具を、時間をかけて製作。この治具を使って溝を切り、穴を開け、曲げ、接着。組み立てに当たっては何度も失敗を重ね、何とか最初の1台を完成。「はて、ほんとうに使いものになるのだろうか?」との不安を抱きながら、お持ち帰りいただきました。
現在、吉川さんはその最初の作品を使って演奏活動をされています。しばらくの時間の経過で楽器が成長したのか?演奏を聞くとその音には驚くばかりです。これはギタルパの持つ基本的な楽器の構造が優れていることの証だと思います。吉川さんが長年ご苦労されて開発された「ギタルパの夢」がここにおいて実現しました。昨年から演奏活動で全国を回られ、一気にその実力を発揮されたギタルパ、今月は尼信博物館に展示され、中央の高級陳列ガラスケースの中で星野尚さんのタラセアの衣を身にまとい堂々と光を放っています。吉川さんの偉業に改めて驚嘆するばかりです。私もちょっとはお役に立てたのでしょうか、嬉しいです。
(2011年4月)
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