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2004年を振り返って          2004年12月25日 発行

 2004年が終わろうとしている。私にとって今年はことのほか忙しい年であった。

 4年前に大腸憩室穿孔性の腹膜炎で長い入院生活をし、2年前には肺塞栓症の疑いで入院と、このところ体調の管理に気を使うことの多かった日が続いたが、今年を乗り切って体力的にもずいぶん自信がつき、2時間のコンサートを休憩無しでもできるぐらい調子を取り戻している。

 今年は春に2月にスペインに行き、帰国直後にマドリード連続爆破テロ事件が起こった。5月にはサラマンカ大学とアルメリアのアントニオ・デ・トーレス館でのコンサートやホセ・マヌエル・カーノやビスニエト・デ・トーレスを訪ねてのスペイン旅行。

 夏にはホセ・マヌエルとビスニエト・デ・トーレスをスペインから呼び、終わるや否や秋のコンサート活動に突入した。春のNHKホール大阪でのクラシックバレーとの共演、10月の福岡でのマドリード連続爆破テロ犠牲者支援コンサートなど、なかなかヘビーな年であったが、充実感につつまれた日々でもあった。

 また、ギター教室で恒例の発表会も《SUNDAY CONCERT(年2回)》《研究発表会》《ジョイント・リサイタル》と4回開催したが、どれも中身の濃い、ご来場のお客様にもすこぶる好評の発表会であった。

 私自身、日本でギター教室に通った経験はわずかな期間でほとんどないに等しく、通常の発表会のやり方に大きな疑問を抱き、生徒一人一人が発表会を通じて力をつけていく方法を模索してきた。

 絶対暗譜、繰り返し本番、レパートリー確保を3原則に、基礎技術の安定と合理性がレッスンの基本で、その結果が発表会の場で成果として現れてきていると思う。

 何度も同じ曲を発表し、回を追うごとに得るものがあり、自然にその人のレパートリーとなって行く。私はいつでもどこでも楽器さえあれば弾けるくらい、余裕を持っている曲をレパートリーと呼ぶことにしている。一曲でも確かなレパートリーがあれば、次に挑戦する曲がそのレパートリーと同じレベルに達するのに時間はかからないだろう。確かな位置へ到達するための道順をすでに知っているだろうから…。

 さて、一生かかって何曲ぐらいこんなレパートリーが作れるだろうか?

 今年のわが国での数々の台風洪水の被害と地震、イラクをはじめとする戦争、そしてスマトラでの未曾有の巨大地震と津波の大被害など、世界中の不幸に驚きと被災者への哀悼を感じながら、来たる年が平和で平穏であることを願ってやまない。

 師走道イルミネーション競う家

忘年会で河豚尽くしのご馳走を頂く
 刺身天ぷら鍋雑炊ひれの酒
                                                      一葦