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お疲れ!スペイン          2004年2月25日 発行

 2月10日から10日間スペインへ行ってきた。10日間といっても実際は往復で3日かかるので現地は1週間しかない。おまけに目的地はグラナダで、マドリードから高速バスで約5時間かかる。もちろん飛行機という手もあるが、便数が少ないのと料金がバスに比べてかなり高い。列車はバスより遅く、1日2本で朝早く出るか、午後の便は夜遅く着くことになる。

 出発の朝、家から伊丹空港まで妻に送ってもらい、伊丹から空港バスで関西空港に向かうといういつものパターン。今回は飛行機の出発時間が割合に遅いので余裕を持って家を出た。と、思ったのだが、伊丹空港に着いてみるとリムジンバスが出たところ、次の便は40分後で、余裕があると思っていた時間が怪しくなってきた。交通状態が悪ければチェックインが遅くなる。不安な反面、小さな期待も…。国際線に乗るときの知られざる裏技!エコノミークラスの切符でビジネスクラスに乗る方法。それはチェックインをできるだけ遅く、ぎりぎりにすることである。締め切られたら乗り遅れで元も子も無いが…。航空会社はエコノミークラスの切符を座席数以上に売っていることがあるので、エコノミーがなくなればビジネスクラスにまわすのである。小さな期待は現実となり、今回は運良くビジネスクラスを獲得することができた。

 マドリードに着いて翌日、グラナダ行きのバスに乗るべく、朝早くから起きタクシーを飛ばしてバスの駅へ向かった。着いたら、また出た直後。次の便はなんと3時間後!大きな荷物を持って一人で3時間は耐え難く、グラナダへの途中のハエンまで行くことにする。ハエンまでは約4時間、そこからは毎時グラナダ行きが出ている。と、思って1時間後にハエン行きに乗ったら、なんとなくいやな雰囲気。気がついたときはすでに遅く、ハエンまでの路線バスで、つまり各駅停車。いちいち高速道路を降りて小さな町に停まりながらハエンまで5時間かかってたどり着く。ハエンで30分後に乗りかえ、グラナダに着いたのは午後4時半で、マドリードで3時間後に発車のバスに追い越されていた。

 グラナダとアルメリアではホセ・マヌエル・カーノやビスニエト・デ・トーレスと忙しいながらもほぼ予定通りの練習や仕事をこなし、1週間後に帰国の途に着いた。

 マドリード空港でチェックインする時、なんとなく変な雰囲気で、となりのキューバ人がハバナへ行くのに、ブエノスアイレス経由で行け、と言われている。あぁ、大変だなぁと思っていたら、自分の番になって、「マドリード発の飛行機が1時間遅れているので、あなたはパリ発の大阪行きに乗れない。予約を変更してバンコク経由で行ってくれ」と平然と言う。大阪到着予定時刻は、夜の9時過ぎ。初めの予定では朝の9時過ぎだったのに、12時間も遅れることになる。多分、団体客が多数いればパリ発を遅らせて待つのだろうけれど、見たところ日本人はほかにいない。冷たく置いてけぼりを食うわけだ。パリでの乗り継ぎの時間は6時間! 一人で空港で6時間だよ!おまけに、値段の高いエール・フランスを買っているのに、安いタイ航空で帰れとは…。まぁ、行きはビジネスクラスに乗ったんでいいか。なんて慰めながら暗い気持ちでパリ行きに乗った。

 でも、このパリでの待ち時間、うっかりパスポートを空港内のどこかに落として無くし、真っ青になった。エール・フランスのスペイン人の(可愛い!)地上職員がいて、一緒に探してくれ、10分ほどで見つかって事なきを得たが、ほんとに危ない瞬間だった。

 結局、マドリードから大阪まで26時間。昔、南回りの飛行機に乗り30時間かけて行ったことがあるが、それに匹敵する長い旅であった。
 お疲れ様でっせ!

 アルメリアのLas Menas(鉱山跡)にて
  トロッコの鉄鉱石に春光る
  殉職の鉱夫弔いアルメンドロ
                                         (アルメンドロ:巴旦杏の花)

 一葦