月刊『ジロリート』とは、コンサートフラメンコギター協会が発行する「ふぁるせぇた」に寄生する世界初の刊内寄生紙です。

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2年ぶりのスペイン (2)          2003年4月25日 発行

マドリードへ戻ってからは、河野さんのお世話になり、「アーモンドの小道」の撮影にセゴビアへ…。河野さんはトレドに行くつもりだったそうだが、なんとなくセゴビアへ向かってしまった…。セゴビアに向かうにつれてだんだん雲行きが怪しくなってくる。マドリードは海抜600メートルくらいだが、セゴビアは1000メートルぐらいあるそうだ。寒い…、と思ったら天気が良くなってきた。青空が広がりいい光の状態。カメラを出して、写真を撮り始める。アーモンドは少し時期が早いようだ…、と思ったら、アルカーサル横のサン・ファン・デラ・クルス修道院のアーモンドが咲いている。

 写真を撮ろうと中の方へ入って行くと、ちょうど裏庭への門を開けて何やら作業中。修道士さんらしい人にお願いして中へ入らせてもらったら、全部案内してくれるという。斜面に立っているこの修道院の裏庭は高低差もあり、結構な坂道が続く。
ちょうど小道の脇にアーモンドの木が2本あり、絶妙のロケーション。あきらめかけていたアーモンドの花の写真はここで決まり!先ほどの曇り空はどこへやら、太陽がさしたり雲に隠れたりと光の演出が始まる。丘の上のエルミータ(礼拝堂)まで案内してもらい、今まで見たことのないセゴビアの景色を堪能する。

この修道士さん、かなりのお年寄りで、歯があまりなく、おまけにどもる。いろいろ説明してくれるが、なかなか聞き取りにくい。まぁ、聞かなかったことにしよう…。しかし、修道院の中の礼拝堂や中庭まで案内してもらい、最後には芳名録に記帳までして印を残し、満足満足!

セゴビアの町の中に入って散歩していると、ちょうどカーニバルの時期で、広場で悪魔や天使などに仮装した子供たちに出くわす。かわいい!

すっかり日も落ち、マドリードのホテルに戻って大道君のご両親たちと合流。翌日は日本に向けて帰国の途に着く。2年の歳月をあけてのスペイン行きであったが、変わったことは通貨がペセタからユーロになったこと。フランシスコもホセ・マヌエルもインターネットで通信できるようになったこと。初めて行った頃は、スペインから日本へは値段が高くて時計を見ながら電話をかけたものだ。その後FAXが普及し、いまや即座にやり取りできる電子メールなるものが普及している。航空運賃も安くなり、心の距離が近くなったような気はする。しかしスペインはやはり遠い。

カーノ先生の奥さんのエミリアも昨年夏に体調を崩し、一人で住んでいるのが怖いと言う。別れ際には来年また会えるだろうかと心細いことを言っていた。初めてスペインへ行ってからすでに25年以上が過ぎた。私が初めてカーノ先生に師事したとき、先生は52歳だった。私は今年その52歳になり、いまや、私の門下生たちが次々とスペインへ行く時代になっている。


小手毬の花引き寄せて

ポーズとる (じろう)
                                           
                             造幣局の通り抜けにて

牧場の牛もうたたね

花吹雪(じろう)

                             大阪府民牧場にて