2016年5月23日~6月2日 吉川二郎スペインコンサートツアー2016



523日、常連の磯部嘉子さん、大学ギター部の先輩で今はギタルパ生徒の木下直さん、野口久子と私の4人は、関空からKLMオランダ航空でほぼ定刻で出発、11時間余りでアムステルダムに到着。機内食のケータリングの搭載遅れとのことで、2時間ほど出発が延び、3時間以上の待ち時間となったスキポール空港で見覚えのある顔を見かけた。神戸日西(日本‐スペイン)協会会員でスペインの絵をよく描いている鈴木邦江さんで、サラマンカに行ってからアンダルシアに行くつもりとのことだった。マドリードで別れるところであったが、我々がチンチョンからトレドに行くことを話すと彼女の思い出の地なので自分も同行させてほしいとのこと、河野兵部さん運転する専用レンタカーに便乗してもらい、マドリードのホテルもとっていないとのことで同宿し旅は道連れとなった。

25日にコンサートをするトレドに行く前日、マドリード近郊で小さな町だが、ニンニクとアニス酒で有名なチンチョンに滞在。映画「80日間世界一周」のロケ地にもなった闘牛場にもなる広場のレストランで、昼食・夕食ともに御馳走の数々。河野さんの選択にはほとんど間違いがない。すでにスペインのレストランで、少し甘いソースのかかった「茄子のテンプラ」が定番料理になっていることを知った。もともとスペイン語かポルトガル語がもとになっている日本の天ぷらが日本食ブームで世界に広まり、TEMPURAという単語ができているのだ。

翌日、トレドに移動。すでにアルメリアからミゲール夫妻が到着していた。今回のトレド市主催のコンサート仕掛け人である大沼画伯夫妻と昼食会。そのあと、コンサート会場の下見。当初、丘の上にあるアルカーサル(王宮)の中庭ということであったが、サン・ペドロ・マルティル修道院(現在は大学となっている)の中庭に変更された。200席ほど用意されるという。

午後8時半ごろから続々と客席が埋まり、9時過ぎに開演。私の独奏が始まった時には客席はすべて埋まり、中庭の回廊部分まで人が立っていた。リハーサルの時には少し寒く、指が冷えて気になったが、本番は客の熱気と照明で思ったほど寒くない。照明も凝っていて、舞台後ろの回廊の壁と柱が曲ごとに色を変えて照らされ、幻想的な雰囲気を作ってくれる。

トレドの町に初めて響くギタルパで、ビバルディの2曲とコーヒールンバを弾くと、拍手も一段と大きくなった。

3部の野口久子とのギター2重奏で、アンコールの「アルハンブラの思い出」が終わった時には総立ちのスタンディング・オベーション、心地よい満足感に包まれた。

終了後、控室にグラナダ出身という人がきて、アルムニェーカルでコンサートをしたいと私の名刺を求めた。

この日のトレドは、年に一番大きな祭りであるコルプス(聖体祭)の前夜祭。街は夜遅くまで人にあふれ、打ち上げのレストランを探すのも一苦労で、やっと見つけたレストランの外の人混みの上に華々しく花火が上がっていた。

(つづく)